ENJOY! GREEN GUIDE 自然といい顔になる体験をお届け 体験型サステナブルリゾート

生物多様性を育む

楽しみながら自然を守っていく。蓼科が発祥の「もりぐらし」とは

東急リゾーツ&ステイの「もりぐらし」とは、森を想い、未来につなぐ取組みのこと。地域と連携した自然保護活動や使われなくなった農地の再利用など、全国の施設でさまざまな活動が行なわれています。自然環境を配慮したこの活動の始まりとなったのは、東急リゾートタウン蓼科から(※)。

2023年8月には日常のなかでも森を感じられるオリジナル商品「TATESHINA by MORIGURASHI」の販売も開始しました。敷地内で間伐したカラマツの木を活用し、さまざまなプロダクトを展開しています。今回は、商品開発担当2名に、プロダクトに込めた想いや「もりぐらし」の楽しみ方をたっぷりと語ってもらいました。

(※)敷地内にあるカラマツの人工林が十分に管理されておらず、2012年の集中豪雨によって土砂災害が起こってしまったため、森を健全化させることを目的に森林資源を核とした「まもる」「つかう」「つなぐ」の持続可能な地域循環サイクルが必要だと動き始めた。

東急不動産株式会社 ウェルネス事業ユニット 事業戦略部

石原宏基

2018年入社 ホテル・リゾートやヘルスケア事業などを所管するウェルネス事業ユニットの事業戦略を立案するなかで、東急不動産の環境先進企業としての施策方針を策定。2022年より蓼科にて環境取組み推進を担当

2018年入社 ホテル・リゾートやヘルスケア事業などを所管するウェルネス事業ユニットの事業戦略を立案するなかで、東急不動産の環境先進企業としての施策方針を策定。2022年より蓼科にて環境取組み推進を担当

東急リゾーツ&ステイ株式会社 東急リゾートタウン蓼科事業推進グループ支配人

助田知子

1994年入社 ゴルフ事業部、ホテル開発等を経て2022年蓼科に異動 約1年半地域創造および総務担当

1994年入社 ゴルフ事業部、ホテル開発等を経て2022年蓼科に異動 約1年半地域創造および総務担当

「もりぐらし」で食の循環をおいしく実感。野菜を自ら収穫し、バーベキューを楽しむ

「もりぐらし」プロジェクトでは、訪れた人たちに、森の恵みを活かした体験を楽しんでもらいながら、持続可能な環境づくりを目指しています。

大切にしているのは、地域の資源を地域内で消費する「地域循環型の環境づくり」。長野県茅野市に位置する東急リゾートタウン蓼科では、蓼科の豊かな自然を活かした、サステナブルな取り組みにつながる多彩なアクティビティーを楽しむことができます。実際に、どんな楽しみ方があるのでしょうか。東急リゾーツ&ステイ株式会社の助田知子さんが施設内を案内してくれました。

東急リゾーツ&ステイ株式会社 助田知子さん

東急リゾーツ&ステイ株式会社 助田知子さん

訪れたのは、2023年8月23日にグランドオープンしたばかりの新スポット、エディブルガーデン。「食べられるお庭」をテーマに、野菜やハーブなどを育てています。

エディブルガーデンの景観

エディブルガーデン

植えられている植物にネームプレートが設置されている様子

植えられている植物の名前がわかるように工夫されている

エディブルガーデン 園内MAP

エディブルガーデンの隣にはバーベキューが楽しめるグラマラスダイニングがあり、利用者はガーデンでハーブや野菜を収穫し、バーベキューの食材として使用することもできます。

グラマラスダイニングの外観
グラマラスダイニングの内観

グラマラスダイニング

助田さん

自分の手で収穫した野菜は特別感があり、おいしさもひとしお。また、ガーデン内には、施設内のレストランで使わなかった野菜のヘタや施設内に落ちている枯葉などをたい肥に生まれ変わらせるコンポストが設置してあります。コンポストでつくられたたい肥は、ガーデンの土に混ぜ込まれ、新たな植物を育む栄養分になっているんです。ガーデンとグラマラスダイニングで、「食の循環」を実感していただけるとうれしいです。

コンポスト内の様子

コンポスト内の様子

森を健やかに育てるために。切った木を再利用するアイデアとは

エディブルガーデン内に設けられた休憩スペースや丸太チェアには、ホテル敷地内で間伐したカラマツの木が使われています。間伐とは、森林に密集しすぎている木を切り、まばらにしていくこと。「木を切るのは、悪いことじゃないの?」と思う人もいるかもしれません。「もりぐらし」の事業に関わる東急不動産株式会社の石原宏基さんも、当初はそう思っていたそうです。

エディブルガーデン内の休憩スペース

休憩スペースと丸太チェア

東急不動産株式会社 石原宏基さん

東急不動産株式会社 石原宏基さん

しかし、間伐は、森がすこやかに育つために必要な工程。木は伸びるときにCO2を吸収しますが、背の高い木がたくさん生えたまま放置してしまうと、下草や幼木に日が当たりません。間伐をして、背の低い木にも日が当たるようにすることで、それらの成長過程において、より多くのCO2を吸収できるのです。

石原さんがいま注目しているのは、間伐材でつくったチップを燃やしエネルギーを生み出す、バイオマスボイラー。施設内のゴルフ場には、森のバイオマスボイラーというボイラー室があり、ここで生み出されたエネルギーは、大浴場を温める熱に利用されています。

森のバイオマスボイラーの外観

施設内に設置された森のバイオマスボイラー。間伐でつくったチップが、この中で燃え続けている

間伐材でつくられたチップ

間伐材でつくられたチップ。「大浴場だけでなく、ビニールハウスの温室などに使用して、そこで育った野菜を提供する『食の循環』を意識した使い道もできるかもしれない」と石原さんは語る

石原さん

チップの使い道はほかにも考えられます。たとえば、チップを敷地内で蒸留して、エッセンシャルオイルを抽出できるようになれば、五感で森を感じられる。木材やチップだけでなく森林の恵みを使ってやりたいことがたくさんあります。いま、ボイラーの温度よりも熱いアイデアを温めている最中です。

間伐材を利用してスプレーやキャンドルに。蓼科の自然を家でも楽しめるお土産

敷地内で間伐されたカラマツは、すべてが熱源として利用できているわけではありません。これまで、チップとして使いきれない間伐材は原木市場で販売していました。お客さまが手に取りやすいかたちでもっと「木」に親しんでもらえないか。そんな目的でつくられたのが、「TATESHINA by MORIGURASHI」の商品です。

「TATESHINA by MORIGURASHI」のラインナップ

オリジナル商品「TATESHINA by MORIGURASHI」のラインナップ。石原さんと助田さんが主に企画・開発を担った

助田さん

どの商品も環境に配慮しながら、「もりぐらし」の世界観を伝えられて、なおかつ、スタッフを含めた私たちも「こんな商品があったらいいな」と思えるものをつくりました。今回はそのなかから特に思い入れのある、5つの商品を紹介します。

①「KARAMATSU SACHT(カラマツのサシェ)」

オリジナルグッズ カラマツのサシェ

カラマツのサシェ

靴に入れたり、クローゼットにかけたりして、カラマツの香りを楽しむサシェ。雨が降った際、施設内のゴルフ場で、濡れた靴を乾かすために新聞紙を提供していたことから、「新聞紙の代わりになり、繰り返し使えるものをつくれないか」と考えたそうです。

石原さん

施設内で間伐したカラマツのチップを、近隣の縫製再生工場で使わなくなった端切れで包みました。縫製とパッケージングは地域の福祉施設に依頼。袋の口を縛る紐にはリサイクルレザーを使用し、すべての工程の背景にストーリーを持たせました。ハンドメイドの温かみも感じていただければ嬉しいです。

②「KARAMATSU OUTDOOR SUPRAY(カラマツのアウトドアスプレー)」

オリジナルグッズ カラマツのアウトドアスプレー

アウトドアスプレー。天然由来の成分を使用しているので、身体にも環境にもやさしく、虫よけの匂いが苦手な人でも使いやすい

カラマツの枝葉から抽出したエッセンシャルオイルを使った、虫よけスプレー。小さな子どもを持つスタッフが、「化学成分が含まれた市販の虫よけスプレーに抵抗がある」と言ったことが、開発のヒントになったそう。

助田さん

スタッフとのちょっとした会話からアイデアやヒントをもらい、「自分のアイデアが少しでも反映されているな」と思ってもらうことも意識しています。いくら良質な商品をつくっても、売り手であるスタッフが共感してくれないと、意味がないんです。

③「FOREST CANDL(フォレストキャンドル)」

オリジナルグッズ フォレストキャンドル

フォレストキャンドル

「カラマツ&シダーウッド」と「カラマツ&ラベンダー」の2種類から選べるキャンドル。

シダーウッドには鎮静作用、ラベンダーには快眠効果があるとされています。もちろん、カラマツによる森林浴作用も。思わずため息が漏れるような心地のよい香りと、炎のゆらぎに癒されます。

④「WOOD DIFFUSER(ウッドディフューザー)」

オリジナルグッズ ウッドディフューザー

ウッドディフューザー。キャンドルと同じく、「カラマツ&シダーウッド」と「カラマツ&ラベンダー」の2種類の香りが展開されている

助田さん

カラマツの枝葉から抽出したエッセンシャルオイルを、アロマウッドにしみ込ませて使います。日常のなかで、木に直接触れる機会を持ってほしいと思い、木に浸透させるかたちにしました。爽やかな森の香りが、やさしく広がります。

また、「フォレストキャンドルとウッドディフューザーは、僕のこだわりも入っています」と石原さん。香りのいいものが好きでアロマやキャンドルなどを日ごろから使っているそう。「趣味に近い」というだけあり、商品づくりに熱が入っている様子がうかがえました。

⑤ 蓼科のはちみつ

オリジナルグッズ 蓼科のはちみつ

蓼科のはちみつ。もともとは別の名称で販売されていたが、「TATESHINA by MORIGURASHI」の立ち上げとともに「もりぐらし」を伝える商品として打ち出された

敷地内の、アカシアの木に囲まれた場所に、養蜂箱を設置してつくられたはちみつ。

石原さん

年によって、蜂が集めてくる蜜の量や質が異なるので、味もその時々で変わります。同じ場所で採れたものでも違うものができる。これも自然の面白さだと思います。

「SOMETHING」店内で販売されている様子

「SOMETHING」店内で販売されている様子

「TATESHINA by MORIGURASHI」は、現在、敷地内の5か所の売店で販売されており、売れ行きは好調だそう。蓼科で働く人たちの声を取り入れているからこそ、実用性が高く、なおかつ「地域循環型の取り組み」を実現できる商品が生まれるのかもしれません。

「自然環境」も、「地域環境」もよくしていく。東急リゾートタウン蓼科が目指す未来

「自然に触れる楽しみを得られる場所はどこか? そう考えたときに、誰もがパッと蓼科を思い浮かべてくれるようになってほしいです」と石原さんは言います。さらに、森林に関わる地元の業者が発展し、社会性だけでなく経済性も両立できるような仕組みづくりに尽力していきたいと思っているのだそう。

石原さん

一口に「環境」と言っても、「自然環境」と「地域環境」の2つに分けて取り組まなければなりません。自然環境を豊かにするのはもちろんのこと、経済的な発展や移住者の増加など、地域環境もよくしていくのが私たちの仕事です。周辺地域の関係人口を増やすところまで持っていければ、地域は自走していく。それが真の意味での地方創造になるのではと思っています。

助田さん

私自身、気力が落ちてしまったと感じていたときに、この蓼科に異動したことで、パワーがだんだんと復活してきました。いまではあれもこれもと、やりたいことが溢れて尽きません。日々仕事をするなかで、元気がなくなってしまったり、モチベーションが上がらなかったりする方もいるはず。そういう方々にも、東急リゾートタウン蓼科に来ていただいて、森のパワーを感じていただきたいです。

施設内の小道を歩く石原さん(左)と助田さん(右)

蓼科の森を通じて、自然環境も、関わる人も、訪れる人も元気にしていく。森と地域、そして訪れた人とがつながっていく「もりぐらし」のプロジェクトは、人々の熱い想いを乗せて、全国に広がり、これからも走り続けていきます。

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